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  士幌町中央中学校「しほろ探求学習」講演レポート  
   

士幌町中央中学校
ここは町内唯一の中学校であり、私自身の母校でもあります。

2月9日、そんな母校で1年生向けの特別授業の講師をしてきました。


   


実は以前よりそのような趣旨の依頼をいただいてましたが、そこから具体的な話が進んではおらず。
また、中身のわからないものに対して事前に準備出来るようなものもなく、まあいつか話が来たらその時にはと考えている程度でした。


今回そんな依頼をくださったのは、士幌町内で道の駅ピア21しほろを運営する(株)atLOCALの堀田悠希社長。

日程的にも、そして本業との兼ね合いの中でも都合のつくものでしたし、また子供達のためになるのであればこれを断る理由はありません。

堀田社長はこれまでにも何度も中学校で特別授業を展開しており、今回もその延長線上のあるものなんだろうなとの理解のもと、即答で引き受けさせていただきました。




2月9日当日、朝10時頃に栩内氏と一緒に中央中学校へ。
我が母校ではありますが、私が在学したのちに校舎が建て替えられて全く新しくなっているため、ここでの懐かしさというのはちょっとした寂しさと同時にやってきます。

この校舎には5年ほど前、現在JAXAに勤務する同級生が生徒達に向けて講演をした際にそれを見に一度だけ入ったことがありますが、その時も玄関と体育館とを最短距離で移動したのみで、校舎がどうだというような記憶はほとんどありません。

あの時は生徒の前で教壇に立つ同級生がとても誇らしく眩しくも見えましたが、同時にすでにジャガイモンプロジェクトの活動を始めていた私も、いつか自分もこういうことができるように頑張ろうとも改めて思ったものでした。

あれから年月が経過し、そういう意味ではようやく出番が巡ってきたともいえる今回。
全て生徒のために取り組むことは大前提ですが、自分自身もしっかりと楽しむことも大切だと感じます。


学校への到着後はさっそく校長室へ通していただきました。
学生時代には校長室に行くとなると、これは凄く良いことをしたか、何か悪いことをしたかの両極端のどちらかだったと思います。

ですが今回、いわゆるゲストとしてここに入らせていただけるというのはとてもありがたいことです。
到着後しばらくはこちらで校長先生、教頭先生とお話をさせていただきました。


その後は今回の会場となる体育館へ。

講演に使うデータがスクリーンに映るように準備をするなどしているうちに前の時間の授業が終わるチャイムが。
しばらくすると生徒達が次の授業に向けてそれぞれの椅子を持って体育館へと入ってきました。




今回の特別授業は、『 しほろ探求学習 』 という総合学習で、3時間目と4時間目の2時限分。
講師は私以外には堀田社長、そして商工会の栩内経営指導員の3人で担当することになりました。

実際に日程と内容を知らせていただいたのが1月末の頃。
授業の概要に沿って、そして持ち時間にも合わせてひとまず台本を作成しました。

これまでにも企業様向けに講演講習会をさせていただいたことはありますし、本業に基づいた講習会を高校生向けにしたことはあります。
しかし今回の相手は中学1年生。

あまり難しいことばかりを言うのもちょっと違うでしょうし、抑揚なくただ淡々というのも面白くないでしょう。
長時間にわたって3人の話を立て続けに聞くことになるのですからそんな中でもしっかりと話の内容に興味を持ってもらえるように、内容自体や具体例の提示の仕方などにもちょっと工夫をすることにしました。


順番は栩内氏がまず最初に話して次が私。
最後に堀田社長という順。

事前に栩内氏とお互いにどんな話をするのかということを照らし合わせ、その繋ぎ目もうまく埋まるように話の順序も考えなければなりません。


私には本業の飲食店を経営しているものとしての現状と課題、そしてそれを受けての地域おこしの活動についての話をしてほしいとの依頼でした。

特にこの中で生徒のみなさんに興味を持って聞いてもらえるのは間違いなく後半部でしょう。

ジャガイモンプロジェクトの活動は様々なこと10年以上にわたって展開していますが、そんな中でも約20分と決められた時間の中で話を出来ることは限られます。
たくさんのことの中から興味を持ってもらえると同時に今回の授業展開に沿ったものをいつくかピックアップして大まかな話の流れを構成。
更にはその内容に沿って説明に用いる写真などのデータも用意しました。


   
   
   


授業開始直前、ある先生に、「 緊張しないですか? 」 と聞かれました。
が、正直緊張は全くしてませんでした。

というのも、体育館に続々と入ってくる先生が以前から知ってる方ばかり。
そんな先生方といつも会うのは夜の時間帯ですが、今回は午前中ということでそのあたりはお互いになんだか不思議な感じです。
しかしそれでもそんな先生方とここで会い、そして言葉を交わすことでとても安心感を覚えることができました。
ありがたいことです。


特別授業は栩内氏の講演からスタート。
彼の担当は商工会の経営指導員としての商工会全体の現状に関して。

時間にして20分強。
商工会とはという話から、現在と少し前とをデータなどで比較。
更には町内に新しくオープンした店舗の話題から、高齢化などで寂しくなりつつある町の商工業者の中でも、それを何とかしようと色々と努力している人がいるという流れでバトンを渡してもらいました。


   
   


続いての私の出番は栩内氏と2人で1時限分を使うとのことでしたので残り約20分。

中身としてはただ私が延々と話し続けるのではなく、途中に、「 これ、知ってる人? 」 というような簡単な質問を投げかけ、実際に生徒のみなさんに手を挙げてもらうことで全体の抑揚をつけました。

また、町の課題を見つけるという今回の授業の流れを大前提に、私の話の中からいくつかのキーワードを拾いやすいよう、順に提示する写真の中にいくつか文字だけのページを挟んで話の流れに抑揚を作りました。

さらに、実際に話す時も淡々と喋り続ける中でも時に声のボリュームとスピード感を変え、しっかりと熱量を受け取ってもらえるような強弱の抑揚も考えました。


実際に話し始めてからは原稿に目を落としながらも生徒のみなさんの方も見ていましたが、多くのみなさんがメモをずいぶんとたくさん書いている様子が伝わってきましたし、講演後にも先生方にそのことを伝えていただきました。
これは本当に嬉しいことでした。

話が難しすぎたり興味を持てなかったりしてその後の授業に向けてメモを取るような部分さえないと判断されてしまえば、それは話をする側にとってはそのニーズに対応できていなかったとも言えるでしょう。

講演後にある先生が、「 メモをたくさん書いていて下ばかり見ている子がたくさんいた。本来であればちゃんと前を向いて聞かなければならないのに申し訳ない 」 という趣旨の話をしてくださったのですが、私からしてみればそれはそれでまた嬉しいことでもありがたいことでもあるわけで、何ら問題のあることではありません。

むしろ生徒のみなさんの学ぼう、何かを吸収しようという意欲には心打たれるものがありました。


   


今回はまず、『 士幌 』 という字をスクリーンに大きく表示。
今日はこれ読めますか? という話をします、と最初に振っておき、少し違う話をしてからここに話題を戻しました。

そこからは士幌を他の町と間違われて悔しい思いを何度もしたという話から、士幌を知らない人がいるとしてそれはアピールしない側にも問題があるよねという展開。
そして、だからこそ自分でアピールするべく地域おこしを始めたという話からジャガイモンプロジェクトの話題へと展開させました。

この後は活動の内容のいくつかを具体的に提示したり、そんな中でも生徒のみなさんが興味を持ってくれそうな、そして今までにあまり聞いたことのないような話をさせてもらい、なぜこんなにたくさんのことをやっているのかという話も。

「 士幌は好きですか? 」「 士幌が好きだから、大切だから 」 という問いかけや投げかけも途中何度か繰り返しました。
私自身中学生の頃にはそんなことを考えたこともありませんでしたが、今回の授業の趣旨として是非そんな想いも持ってこれからも色んなことを学んでくれればと思います。


飲食店経営者としての現状や、収入や経費がどうだとか、実際の数字を示してどうのこうのというのは、きっと私ではない飲食店経営者が登壇しても話を聞くことができるのではないかと思います。

ですので今回は私でなければ経験していない、他の人にはできない話をたくさん盛り込みました。
他の人からは聞けないようなかなり違う路線の話を受け取ってもらい、この先のみなさんの思考の幅が広がるきっかけになれば幸いです。


   
   
   


ここで実際の原稿を丸ごと掲載しても問題ないといえば問題ないのですが、それではせっかくわざわざ学校に呼んでいただいた先方に失礼かと判断します。
ですので私自身の実体験に基づいた自ら書いた原稿、そして講演ではありますが、ここでの内容の紹介はこの程度の大まかなものにしたいと思います。



直後の休憩の時間には私のところに駆けつけてくれる生徒が何人かいました。
YouTubeで自分で実際にこんなことをやってみたいという具体案を持っている子もいれば、他の話題が琴線に触れた子もいました。

また、先生方も半ば興奮気味に直前の講演の感想を伝えてくださったのがとてもありがたがったのと同時に、内容にご自身なりの興味を持って話をしに来てくれた先生も。
これもまた嬉しいことでした。


   


今回は事前の打ち合わせがなかなかできずに原稿の完成も直前となってしまったため、中身を改めて覚える時間が全く取れませんでした。
そんなことからどうしても原稿に目を落として話をしたり、ただ文章を読み上げるようなつまらない話し方になってしまうのではないかという不安がありましたし、それは少なからずそうなってしまっていたのだろうとも思います。
ですが直後の生徒や先生の反応に、正直大きな安堵感を覚えてホッとすることができました。



休憩時間の後は続いて堀田社長の順番。
道の駅ピア21しほろの現状と課題に関しての話が色々とあり、そしてその講演を受けてのワークショップがありました。

このワークショップは1班6人くらいに分かれ、それぞれグルーブで輪になって行なわれていたのですが、始まった途端にみんなが一斉に前のめりになって話し合いをしたり作業をしたりしているのがとても印象的でした。
なんだかそれを見ただけでも彼らの熱量を感じることができ、とても嬉しいような心強いようような気持ちにもなりました。


   
   
   
   


やがて次のチャイムが鳴りました。
生徒の代表の方にご挨拶をしていただき、今回の2時限分の特別授業は終了。

先生の説明を受けてから給食を食べに教室へと帰っていく生徒達を見送った後、改めて校長先生や他の先生方とお話をさせていただきつつ学校をあとにしました。



今回の講演に対しては本当にたくさんのお礼の言葉を頂戴しましたが、私自身もとても貴重でありがたい経験をさせていただきました。

まず自分の出身の学校に講演をするという立場で戻らせていただけることのありがたさと何とも言えない嬉しさ。
講演をして欲しいと声をかけていただけたこと自体のありがたさ。
そして実際にキラキラした生徒のみなさんの反応を目の前で直接見れたことの嬉しさ。

思い出深く印象的で、そして間違いなくずっと記憶に残る素晴らしい時間を過ごさせていただきました。


また誰かに物事を伝える、教えるという作業は、自分自身の様々なことを改めて振り返るとにもなり、これは間違いなく大きな学びに繋がります。

相手に対してわかりやすく伝えようとする作業は普段の自分の発信がわかりづらいもの、伝わりづらいものになっていないかという確認にも繋がります。

これまでたくさんのことをやってきている中でそれを限られた時間で表現するために要約する作業は、過度な説明で逆に物事を難しくしていないかという再確認にも繋がります。

今回も相手に合わせて表現や内容を考えることと同時に、自分自身を色々な意味で見つめなおすきっかけにもなりました。
そういう意味でもありがたい講演となりました。


今回このような機会に際してお声がけをいただいた堀田社長。
そして受け入れてくださった中央中学校の先生のみなさんや生徒のみなさん。
本当にありがとうございました。


あ、あともう1つ。
私がまだ商工会で青年部にいた時代から一緒に様々な取り組みを共にし、そして共有してきた栩内氏。
彼は私にとってはただの経営指導員でも商工会の職員でもなく大切な仲間だと思っています。
そんな彼と同じ方向を向いてまた1つのことを共有できたのは嬉しさ、いや嬉しさというよりも大きな安心感がありました。


今回の特別授業。
きっとこれはこの日のことだけにはとどまらず、この先に繋がるプロローグなのではないかと感じます。
未来が楽しみです。


2023年2月10日 掲載




追記

21日、前回の授業を受けて生徒のみなさんがそれぞれに考えをまとめたもののグループ発表が行なわれました。

私も改めて中学校を訪問。
みなさんの発表を拝見させていただきました。

それぞれのみなさんが思った士幌の現状や課題。
それをどう解決すべきか、どう取りき組んでいくべきかといった意見。
みなさんそれぞれの視点からの意見はとても新鮮なものでした。

私が講演させていただいた内容のものに限っても色々と発表がありました。
それらを聞いていると、様々お話しさせていただいたものの中でみなさんに特に印象に残ったものは何かということが分かり、そこから更にはこの世代の人達に対してはどのような取り組みが有効なのかというのも見えてくるようでした。

士幌の課題については少子高齢化やそれに伴った後継者問題などを課題と捉えているグループが多く、それに対して彼らの目線から見えてくるものや考えも色々と聞くことができました。

また一方で大人の人だけで集まった会議ではなかなか出で来ないのではないだろうかというテーマもありました。

中には、「 未来の士幌のために何ができるか 」「 川崎さんに代わって発信できるように 」 というものがあり、さらにはそこから、「 人のために何かできる大人になろうと思った 」 とまとめた発表があり、これは特に印象的でした。


とにかくみなさん本当によくまとめられていて、とても素晴らしい発表だったと思います。
一生懸命に考え、そしてそれを人に伝えるということがしっかりと出来ていると感じました。

私自身、前回の講演の中で、「 みなさんの考えをぜひ周りの人に伝えてください 」 という話をしました。
そう言ったからには大人としてはその責任はちゃんと果たさなければならないと思い、今回改めて中学校を訪問させていただきました。

しかし実際に行ってみると、その責任というよりもそれ以上に私自身が勉強になることがとても多く、本当にな有意義な時間を経験できたと思います。
本当に行って良かったです。
今回の経験は私自身のこれからの様々な活動に間違いなく活きてくるものになると思います。


   
   
   
   


ジャガイモンプロジェクト代表 ・ 川崎康



 
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