@ ジャガイモンプロジェクト 公式ホームページ
2011年6月に活動を開始したジャガイモンプロジェクト。
今年2023年6月にはその歴史も丸々12年を迎え、そして13年目へと突入しました。
この12年を振り返ると様々な出会いや出来事があり、その1つ1つはどれも間違いなく大切なものであり、かけがえのないものばかりです。
そんな中でここまで活動を継続できているというこの現実と向かい合った時、そこには数々のポイントになった地点があったと感じています。
そもそも最初にツイッターを始めていなければ。
あの時に公式ソングを作るなんて発想をしていなければ・・・
あの人と出会っていなければ。
ツイッターであの人に声をかけていなければ・・・
あの人と一緒にイベントを開催していなければ。
タレント育成を始める決断をしていなければ・・・
花火大会、ライブ、撮影会、公式ショップ、ファンクラブ。
公式サイト、YouTube、演劇、アイドル・・・
そしてたくさんの出会いや御縁。
更にそこには特に大きなターニングポイントとなったものもいくつもあったと確信しています。
そんな中でそれを【 場所 】 に限定した時、私の頭の中には間違いなく
夕張
という場所が浮かんできます。
私がジャガイモンプロジェクトの活動の中で初めて夕張を訪問したのは今から9年前の2014年3月。
前年の士幌での夏祭りのゲストを選出する行程の中で出会うことのできたアリスインプロジェクトさんにお誘いいただき、1本の映画作品のメディアスタッフとして参加させていただいたのが夕張で開催される映画祭。
そしてここで出会ったのが浅川梨奈さんや加藤里保菜さん。
更には山岸謙太郎監督やスタッフのみなさん。
夏祭りにゲストに来ていただいた高橋明日香さんにも再会できました。
この出会いと出来事はその後のジャガイモンプロジェクトの活動に大きな影響があり、逆にこれが無かったらと想像するとプロジェクトの形は今とは大きく違ったものになっていただろうとも思います。
その年以降も新型コロナウィルスの影響でオンライン開催になってしまった前年の2019年まで、真冬に開催された映画祭に6年連続で参加させていただきました。
士幌の仲間と研修で、ジャガイモンの大切なお友達に会いに、現地の人を取材に、そして時に現場のお手伝いも。
毎年様々な形で参加した映画祭では貴重な経験をたくさんすることができました。
そして実は更にはプロジェクトの公式な活動として公表している以外にもこの間に何度か夕張を訪れています。
何も下地のないところから映画祭が立ち上がり、地域の財政破綻を経てもなお人を惹きつけるイベント。
毎年たくさんの映画関係者が集まることでスムーズに進行することもあれば、逆に初めての人にはわかりづらい部分もある。
映画祭と地域の住民とのかかわり方や感じ方、既存の施設が使えなくなったり鉄道が廃止になる中で続く工夫や苦悩。
1回だけではなく何度も通うことで見えてくるものもあれば、聞くことのできる言葉もある。
良いも悪いも含めたそんなたくさんのものが次の活動や発想にも繋がれば、参考にも戒めにもなっていく。
そんな夕張はジャガイモンプロジェクトにとって、そして私自身にとっても間違いなく大きなターニングポイントです。
活動12周年を迎えて改めてその色々を振り返った時、私は無性に夕張を再訪したくなりました。
「 行って○○をする! 」
「 ○○さんに会う! 」
「 ○○を食べる! 」
そんな具体的な目標値の設定は一切なし。
ただそこに行って、その場所で自分は何を感じることができるのか。
それを大切にしたいと思いました。
ただ思い出を振り返るのではなく、きっと13年目以降の自分自身に訴えかける何かがあるのではないか。
だからこそ私は今回、夕張へ。
今回はそんな夕張再訪をレポートでお届けします。
これまでの夕張訪問の各レポート
昼前の少し雨がちらつく中、夕張の道の駅 夕張メロード に到着。
ちょうど夕張メロンのいい季節と重なっていることもあり、道の駅の屋内外にはたくさんの人の姿がありました。
ここの道の駅は情報の発信、特産品の販売などの機能の他に、地域の方にとっては普通のスーパーマーケットとしての役割もあります。
入口付近には旬のメロンやメロン熊のグッズ、ソフトクリームや地元の菓子店の商品などが並んでいます。
奥は生鮮品や日用雑貨、米や菓子類や雑誌など、いわゆるごく普通のスーパーになっています。
ここは2011年に道の駅になる以前は元々はJA夕張市直営のスーパーマーケットとして機能しており、道の駅になった後もその機能はそのまま残っています。
私自身、夕張に来るたびにここに寄っては必ず何か購入しています。
今回も阿部菓子舗さんなどで色々と購入させていただきました。
また、ここ数年しばらく何もなかった場所に新しい店舗が入っていたり、屋外にも出店があるなどずいぶんと賑やかになっており、いち夕張ファンとしては嬉しい光景を見ることもできました。
そしてJA夕張市と夕張出身の声優・石黒千尋さん、更には石黒さんが声優を務めるキャラクター・結月ゆかりがコラボする企画が始まっており、ちょうど前日の17日からは道の駅限定でグッズの販売も行なわれていました。
スタッフの方に伺うと前日はオープン直後から限定グッズを求めるファンの方が大勢来られていたそうで、早々に完売した商品もあったとのこと。
私も残っていたガチャガチャを購入させていただきました。
地元出身の方とのこういうコラボ、とても素敵だと思います。
通路の棚にはパンフレットも色々と置かれていました。
石炭博物館や幸せの黄色いハンカチ想い出ひろばのもの、鉄道の廃線跡のガイドマップ。
シューパロダムのエリアマップは夏バージョンと冬バージョンが用意されていましたし、ふるさと納税の立派なパンフレットもありました。
そんな中でも特に私が気になったのは、「 夕張Likers(ライカーズ)!を大募集 」、と書かれたパンフレットです。
これはふるさと納税やSNSを通じて ” 関わり人口 ” を増やそうという趣旨のもので、” 活動人口 ” である夕張市民と力を合わせて新たな町づくりをしていこうというものです。
最近この ” 関わり人口 ” を増やしていこうという取り組みは全国のあちらこちらで進んていると聞きますが、正直なところ士幌町はまだまだ遅れています。
こういう取り組みはぜひとも士幌町でも進めていくべきことだと思いますし、また形を変えてジャガイモンプロジェクトでもできることだと改めて認識しました。
受けた刺激を刺激だけで終わらせないことも大切なことだと思います。
今回の特別出張、実は活動の様子を撮影してくださる方とこの後に合流しました。
この方は現在夕張在住で、ジャガインプロジェクトを長期間にわたって応援してくださっている方で、ここから活動に同行いただき、撮影をしていただいたり、現地の方だからこそわかる情報を色々といただきました。
本当に助かりました。
ありがたい限りです。
次に訪れたのは旧JR夕張駅の建物に入っている Cafe & Sweets 和さん。
こちらで昼食をいただきました。
私達が行ったタイミングは比較的空いていましたが、店の奥様によると前日はずいぶんと混み合っていたとのこと。
窓越しに外を見ると大きなバイクが何台も駐まっていたりもしましたし、実際に私達が食事をしている最中にも他の席が埋まっていき、他にもソフトクリームなどを購入しに入ってくる方も何人もいました。
すぐ横にあったホテルマウントレースイは新型コロナウイルスの影響などで前の運営会社が破産。
2020年12月から閉鎖されたままになっていて、遠目には何となくきれいですが、それでもやはり虚しく時間だけが流れる廃墟のようです。
それでも人が集まってくるというのはそこに何らかの魅力があるわけであり、そこに行く理由があるのです。
私自身、夕張駅へと走るJRがまだ現役だった頃にも廃止直後にも、そして映画祭が行なわれている最中にも何度となくこの建物には来たことがありますが、今のこの状況でもなお人々がここを訪れ続けているというのは正直驚きもしましたし、素直に凄いなとも感じました。
かつて炭鉱で賑わった夕張もその炭鉱の閉山後には ” 炭鉱から観光へ ” と宣言し、観光で人を集め、そして地域を守るスタンスへと移行。
しかし財政破綻から2007年に国から財政再建団体の指定を受けると、これによって人口も一段と減少するなどさらなる苦境に陥りました。
正直、夕張メロンの旬の時期と映画祭の数日間以外は外部から訪れる人はほとんどいないのではないかとさえ思っていましたが、ここを見ているとその考えはちょっと違うなと感じました。
実際店の中で見ていると観光の方以外に地元の奥様方がゆっくりとお茶をする光景もありました。
ここには間違いなくそんな人々の流れがありました。
なぜこの状況でも人が流れてくるのかを外から見て考えることは色々なことに取り組む際のヒントにもなるのではないかと思います。
現地に行ってその場で起こっていることを自ら体験したり目にしたりすると、それが行く前の想像や噂とは違っていることも多々あります。
やはり自らその場を訪れ、そして自分の目や耳で感じることはとても大切なことだとも改めて思いました。
13時頃からはYouTubeチャンネルでの生配信を行なうと事前に告知していました。
ちょうどいい時間になっていたのでスタートする前に思い出溢れる旧市民会館前へと移動。
ここで早速配信を始めようとしたのですがトラブルが発生しました。
事前に準備していたURLにスマホからアクセスできなくなってしまったのです。
結局その場では原因が特定できず、緊急処置としてその場で新しいURLを作成し、そこから急遽生配信することとしました。
これに関して帰宅後に改めて調べたところ、結局は私の単純な設定ミスが原因だと判明。
元々のURLで配信がスタートするのを待っていてくださった方もおられたようでしたし、いつものようにパソコンからの配信であれば色々となんとかすることも可能だったのですが、スマホからだと出来ることも限られてしまいました。
この点に関してまずご迷惑をおかけしたことをお詫びさせていただくとともに、再発防止のための準備をしっかりと行なうことをお約束いたします。
当日の生配信の様子
生配信は旧市民会館前からスタート。
市役所前を通って、ゆうばりキネマ街道と呼ばれるお店の並ぶ商店街へ。
途中に前を通った そば処吉野屋さん は名物カレーそばを求める人の入店待ちの列もありました。
通りの奥にはホテルシューパロがありましたが、ここもマウントレースイと同様に閉鎖中。
かつては観光客で溢れ、映画祭でも会場のひとつとして利用されていた場所でしたが今はただただ寂しい空気が流れるばかり。
周りの店も喫茶店や理容店など営業しているところも数店ありましたが、私が毎年訪れていた数年前と比較しても廃業してしまっているお店や、建物すらなくなってしまっている場所も。
わずか数年でのこの変化には改めてびっくりもしましたし、感じることもたくさんありました。
ホテルでも商店でも、無くなってしまう前であれば地域であれ個人であれ何か少しでも支えることができるかもしれません。
それらを自ら利用することももちろんですし、様々な形で発信に助力することも可能でしょう。
しかし一旦無くなってしまってからだと、例えばそれを再開に持っていくというのはかなりの大変な労力になると思います。
この地域の2つのホテルを見ていても、ホテルマウントレースイの方は2023年12月に営業を再開する方針だと新運営会社が昨夏に発表しましたが、実際にこれを現実にするためにはしばらく利用していなかった施設の大幅な改装が必須でしょう。
またホテルシューパロに関してはさらに老朽化が進んでいるとのことで現時点での再開は未定。
これを再開に持っていくには地域も含めてまずは一刻も早い初手を打つことが必要でしょうし、一度閉じてしまったものを再び開くのは無くなりそうなものを支えるよりも間違いなくずっとずっと大変です。
そう考えるとこの夕張に限らず、普段からまずは自分の地域の色々なものをそれぞれの人が支えるというのは大切なことだと再認識することができます。
「 ここがもし無くなってしまったら 」 と想像することも、そうならない為には何がどうあるべきかということをそれぞれが考えることも大切だと思います。
生配信はこの後は一段小高いところにある飲み屋街へ。
ここでもこの数年での変化に驚かされました。
まず見た目に明らかに建物の数が減っていました。
建物のあったはずの場所にコンクリートだけが残っているところもあれば、本当に何もなくなってしまった場所もありました。
また、建物が雪やなどの自然の力でなのか、それとも人力によってなのかは不明でしたが、瓦礫になったものの上に網がかけられている場所も多数ありました。
まだ営業している居酒屋やスナックもわずかにありましたが、ここはまさに今の夕張を象徴する縮図のようにも思えます。
そしてこれはけっして夕張だけの問題ではなく、高齢化や人口減少が進む数多くの地域の将来の光景のようにも感じられました。
今の瞬間がそこそこいいからと言ってその状態がいつまでも続くわけではない。
例えば1つの店をとってみても、前述のような原因から閉店してしまうこともあれば、後継者がいなくて廃業してしまうことも考えられるでしょう。
そんなことが重なることで地域が寂しくなり、寂しく不便な地域からはより一層に人口の流出が進んでしまうかもしれません。
将来につけを回して今の現実から目を背けることも短期的な考え方としては可能なのかもしれませんが、そのつけは必ず大きくなって自分や地域に返ってきます。
今ある課題は今のうちに解決する。
将来を想像して今打てる手を打つ。
地域を守る第一歩はまずは想像からだと再認識しました。
生配信は再び最初の旧市民会館の前まで戻って終了。
元々約30分と予告させていただいてましたが、配信している時間を確認すると29:30。
なんと見事なちょうど具合。
締めの話に4分程かけたので結果的に少しオーバーはしましたが何とか終了しました。
しかし当初に予定していたURLから設定ミスによって配信できなかったこと、歩きながらの配信で揺れを抑えるために準備していたスタビライザーが不調で途中から外したことなど反省点と改善点が多数です。
最近はいつも固定のパソコンからの配信だったため、移動での配信に対しての準備が足りていなかったと反省しています。
そういう意味ではこの生配信からも学びが多くありましたが、でもそれ以前にまずは改めてみなさんのご迷惑をおかけてしまったことをお詫び申し上げます。
この学び、必ず次に繋げます。
生配信終了後は改めて地域をゆっくり見るために今のコースを歩いてもう一周。
一度失ってしまった景色は、この先何かをきっかけに再び盛り上がることがあったとしても昔と同じ景色は戻ってきません。
昔と同じものをいつまでも維持することが何よりも大切かと考えるとそれはそうではないと思います。
ですがその昔の景色にはそれぞれの思い出や記憶が詰まっています。
ここでの私の思い出なんかは地域の方々のそれに比べれば取るに足らない小さなものです。
それでもその思い出の中の景色がわずか数年で大きく姿を変えている実際を見るとやはりなんだかとても寂しい気持ちになります。
そんな想いに揺られながら、そして記憶と照らし合わせながら夕張の今をしっかりと心に刻みました。
続いては丘の上に位置する 合宿の里ひまわり へ。
ここは旧市民会館が閉館になって以降に映画祭のメイン会場になっている、旧夕張北高校の校舎だった場所です。
ここも私にとってはこれまでの映画祭での思い出がたくさん詰まっている場所のひとつであり、地域としては現在も様々な研修やセミナーなどで利用されているのだそうです。
今回は建物の中に入ることはしませんでしたが、やはり現在進行形で利用されている施設ということもあって見た目にもきれいです。
今年も6月29日から7月2日まで、ここをメイン会場として映画祭が開催されます。
私もコロナ前は2013年から19年まで6年続けて参加していましたが、20年以降はオンライン開催(一部現地開催)に切り替わったため現地へは来ず。
晴れて今年は4年ぶりのフル現地開催となりますが、今年は私は参加しないことにしました。
気が付くと映画祭期間中の通しのチケットの価格も3倍ほどになっていました。
映画祭も間違いなく転換期を迎えているようです。
夕張の最後は夏の間だけオープンしているJA夕張市が運営する夕張メロンドームへ。
ここっていつからあったんだろう。
今回初めてお邪魔させていただきました。
この夕張メロンドームでは夕張メロンの食べ放題が出来たり、市内の他の施設と同様にメロンの地方発送なども可能です。
こちらでは夕張メロンソフトクリームをいただきました。
事前情報によるとクリーム自体がとても柔らかく、傾けてしまうと落ちてしまうとのこと。
実際に購入の際にもスタッフの方から同じ注意を受けました。
すぐ隣には実際にメロンを栽培しているビニールハウスもあり、また大きな倉庫の前には航空機用の貨物カーゴも多数置かれていました。
ここから夕張メロンが全国に飛んでいくんですね。
さすがの光景でした。
これで今回行くことを予定していた場所全てを巡りました。
同行してくださった方ともここでお別れです。
この後は少し写真を撮影しながら最後は車にガソリン給油。
正直給油しなくても士幌に十分に戻れる量は入っていましたが、せっかくこうしてお邪魔したのですからその地域でお金を落とすことも大事なことだと思います。
わずかで申し訳ないですが。
ジャガイモンプロジェクトの公式な活動では7度目の夕張訪問。
他にも実はそれ以外で昨年もチラッと来ていたり、プライベートでも何度か訪問させていただいたいる夕張。
ここには思い出や記憶ばかりではなく、この先の地域おこしジャガイモンプロジェクトとしての活動や様々なものへのヒントがたくさんある気がしています。
これまでの訪問でもたくさんの学びや刺激があり、そして教訓もあった気がしています。
活動12周年記念特別出張という形で改めて訪れた夕張。
ただの記念活動や思い出の場所巡りというつもりで来たわけではなく、13年目を迎えてここからまだまだ活動を続けていく上でのヒントを得ようという想いでここにやってきました。
今回は同行していただいた方以外の地域の方とはほとんど触れあわずに全行程を終えました。
そういう意味では私自身が定義している ” 特別出張 ” の形からは外れるものになったとも思います。
ですが今回の活動を経て得たものや受け取った事柄は数多く、そういう意味ではここに出張してきた意味は大いにあったと実感しています。
地域の方やここで会える方々との触れ合いはまた次回。
ぜひとも再会したい映画祭の関係者やおじちゃんおばちゃんともきっといつかまた。
夕張はジャガイモンプロジェクトにとっても私自身にとっても間違いなく大きなターニングポイントとなった場所です。
そんなありがとうの想いも込めながら、ここから先にまた新しい未来をいつかまたこの場所で是非とも重ねたいと思います。
またいつか必ず戻ってきます。
夕張よ、今回もありがとう!
そして、今回の行程に同行いただき、写真の撮影もしていただいた ひまさん。
更にはトラブル続きの現地からの生配信にお付き合いいただいたみなさんも、ありがとうございました。
2023年6月20日
掲載
ジャガイモンプロジェクト代表 ・ 川崎康
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